今回は試合で頻繁に起こりうるルールの話です。
野球は1試合で500近いプレーがあります。
みんな100点を求められるのですが、なかには「ん?これどうなんだろう?」と疑問に思うものもあるでしょう。
すべてルールブックに書いてありますが、審判団でも全部知っている訳ではありません。10年・20年に一度しか起こらないような難しいプレーもあるからです。
今回解説するルールは、よく起こるけど意外と知られていないものだと思います。
インフィールドフライと故意落球
まず少年野球でもよくあるのは、「インフィールドフライ」と「故意落球」です。
これはいずれも故意のダブルプレーを防ぐためのルールです。似ているルールですが、決定的に違うところがあります。
条件の違いを把握しよう
まずは条件の違いをしっかり認識しましょう。
●インフィールドフライ
ノーアウト or ワンアウト
ランナー1・2塁 or 1・2・3塁(満塁)に走者がいれば起こり得ます。
●故意落球
ノーアウト or ワンアウト
ランナーが1塁にいれば起こり得ます。
決定的な違い
そして決定的な違い。
それは、『インフィールドフライ』は落球してもアウトが成立しているのと同時にインプレーになります。が、『故意落球』の場合はボールデッドになります。
”インフィールドフライ”は宣告された瞬間に打者はアウトになります。しかし、落球してもインプレーです。
打者はアウトになっているので、インフィールドフライ宣告後に走者が進塁するときは、フォースプレーではなくタッグプレーになります。
例)
ショートへのインフィールドフライで落球しました。慌てて1塁走者が2塁に向かっていきました。
このような場合に、タッグプレーになりますから塁を踏んでもアウトにはなりません。
“故意落球”の場合はボールデッドになります。その瞬間に試合が止まりますので、故意落球を宣言したらタイムを掛けて試合を止めてください。その瞬間にすべての走者は進塁できなくなります。
インフィールドフライはインプレーなので進塁しても良いのですが、故意落球はボールデッドになるので進塁はできません。
この違いをしっかり覚えましょう。
打球の質も違う
打球の質でも違いがあります。
インフィールドフライはフライに対して宣告する
インフィールドフライは文字通りフライです。
内野手が普通の守備体形を取っていれば間違いなく取れるであろう内野フライで、かつフェアの打球です。
ですから、インフィールドフライは正確には『インフィールドフライ・イフ・フェア』といいます。
打球がファールゾーンに来たのにインフィールドフライはあり得ません。もちろん捕球すれば打者はアウトになりますが、落球すればただのファールです。
打球が(インフィールド)内野の中にある場合で、インフィールドフライと宣言があった瞬間に打者はアウトになります。またフライですから一定水準の高さが必要です。
そしてあまり早く宣言してもダメなのです。特に強い風の日には気を付けてください。宣言をするタイミングの目安としては、打球が放物線を描いて頂点に達し下がってくる瞬間です。
面白い例として
強い風で有名な千葉マリンスタジアムですが、そこでセカンドフライが上がったと思い、早い段階でインフィールドフライを掛けました。ところが、ものすごく強い風で打球が流され結局スタンドに入ってしまうというケースがありました。
スタンドに入ってしまった打球はただのファールです。
落ち着いて、焦らず、間違いなくインフィールドの中で捕球されるなと思ってからインフィールドフライを掛けましょう。ただし微妙な時にも掛けていいのです。
フェアかファールかわからないときでも「イフ・フェア(もしもフェアだったら)」という言葉が付いているので大丈夫です。ファールゾーンに流れてしまっても構いません。
故意落球はライナー
故意落球というのはライナーに対して宣告されるものです。
例えば、セカンドは1塁に走者がいて、セカンドライナーを故意に落としました。ライナーだと思って1塁に戻ろうとする走者を4-6-3でダブルプレーが取れちゃいます。
そういうことを防ぎランナーを保護するために作られているルールなのです。
この故意落球のルールは言葉が悪いですが悪用することもできます。
普通の緩いライナーをギリギリまで引っ張ってバウンドで捕る。これは正規のプレーなので故意落球は適用されません。
例えば、バントなどで小フライになりました。捕ってから落としたら故意落球になりますが、少し待ってバウンドしたものを捕る。これは正規のプレーなので故意落球は適用されません。
故意落球は少年野球では宣告しずらい
故意落球は何年も帯同審判をしていますが、一度も起こったことはありません。
なぜなら、少年野球の場合、そもそも技術が未完成なのでライナーを取れないというのが当たり前だからです。故意に落としたのか、ファンブルして落としたのか判断が難しいのです。
全国大会に進出するようなチームでも無ければ、子ども達に無理に教える必要もないでしょう。
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